寄付月間2020公式認定企画 海外ドラマに見るファンドレイジングと寄付 vol.4

1年の終わりに寄付について考える寄付月間2020も残り少なくなってきました。公式認定企画として連載している「海外ドラマに見るファンドレイジングと寄付」も4回目。今回は、アート系ファンドレイザーとしては見逃せない「MOZART IN THE JUNGLE」をご紹介します。

モーツァルト・イン・ザ・ジャングル(原題:MOZART IN THE JUNGLE)

元ニューヨーク・フィルのオーボエ奏者のブレア・ティンドールがクラシック音楽業界の内幕を綴った「モーツァルト・イン・ザ・ジャングル−セックス、ドラッグ、クラシック−」が原作で、AMAZON ORIGINALとしてドラマ化された作品です。原作のタイトル通り、ちょっと過激な部分もあり、クラシック音楽を舞台としているのに堅苦しさがありません。それでも、ジョシュア・ベルやラン・ラン、エマニュエル・アックスら超一流の演奏家がカメオ出演していて、それだけでも一見の価値があります。ゴールデングローブ賞とエミー賞を獲得しているこの作品は、シーズン4まで全40話が公開されています。

オーケストラ再生の物語はファンドレイジングの教科書

経営難のニューヨーク・シンフォニーに破天荒なメキシコ人の若き天才指揮者ロドリゴ・デスーザ(ガエル・ガルシア・ベルナル)が新しい音楽監督兼指揮者としてやってくるところから物語が始まります。これは、落ち目のオーケストラの再生の物語なのです。新たなメンバーを加えたり、次のシーズンのプログラムを変更したりして組織や事業の活性化を図ったり、理事長や新旧の音楽監督が協力して資金の調達を行ったりと、その様子は、事業と組織、財源の3つの要素の成長戦略を有機的に組み合わせて全体の成長を目指す、まさにファンドレイジングの基本。準認定ファンドレイザー必修研修で学ぶ赤バインダーの内容を復習しているような気になります。

オーケストラの資金調達

華やかに見えるクラシック音楽の世界ですが、人数が多いオーケストラの運営は、特に資金面でたいへんです。ニューヨーク・シンフォニーも例外ではなく、理事長のグローリア・ウィンザー(バーナデット・ピーターズ)が資金調達のためのパーティーを開きます。(シーズン1エピソード4)このグローリア、なかなかのやり手ファンドレイザーです。

前々回の記事でも「エミリー、パリへ行く」に登場するファンドレイジング・パーティーをご紹介しましたが、こちらもパーティーもかなり豪華。バンケットホールの円卓には、音符の形をした札($5000とか$10000とか書いてある)が置いてあって、参加者は余興の満足度に応じてその札を掲げて寄付をしていきます。いかに楽しんで寄付してもらうかは、ファンドレイザーの腕の見せどころ。グローリアは、参加者一人一人の個人情報を確認したり、挨拶の練習をしたり、と準備に余念がありません。また、前音楽監督のトーマス(マルコム・マクダウェル)もロドリゴもそれぞれピアノを演奏したり、参加者を巻き込んでグラスハープを鳴らしてみたりと、全力でファンを楽しませて寄付を募るさまは、ファンドレイジング視点ではかなりツボのポイントです。

パーティーの後、ベノフカ家から貸与されている、ニューヨークの夜景を一望できるペントハウスで、グロリアとロドリゴはファンドレイジングについて語り合います。

Gloria —I don’t think we’ve ever raised that match money in one single event. And that’s net the damages that we had to pay the Knickerbocker Club.

Rodrigo —Ai, Gloria, I only have so many of those in me.

Gloria —Yes, yes. Yes, I understand. But fundraising is not mundane, my dear.

Rodrigo —Neither is my art.

Gloria —Okay. I’ll do my best to limit the number you have to attend. Own my word.

Rodrigo —Thank you.

AMAZON ORIGINAL MOZART IN THE JUNGLE 1-4

一度のイベントであれほどたくさんの寄付が集まったのは初めてと喜ぶグロリアに、毎回期待されては困ると答えるロドリゴ。それに対して、グロリアは、寄付集めはただの雑用じゃないのよと言います。

そう、ファンドレイジングは、ファンドレイザーだけが行うものではないのです。資金を必要とする活動に関わる人が一丸となって呼びかけないと、寄付者にその必要性が届きません。その一方で、アーティストが芸術活動に専念したいという気持ちも痛いほどわかります。アーティストなら、言葉ではなく、その作品で自らの芸術活動の価値を世に問いたいと思うでしょう。

でも、赤バインダーを思い出してください。ファンドレイジングは、事業と組織、財源の3つの要素を有機的な相乗効果で引き上げていくことが重要なのです。私自身、非営利活動のファンドレイジングは、分野によってアプローチが違うのではと思っていた時期もありました。特に芸術文化の分野は、社会課題の解決のための活動とは違う難しさがあることも事実です。しかし、やはり基本は同じです。

そんなファンドレイジングの原点に気づかせてくれるこの作品、いたるところにファンドレイジング的な要素が散りばめられています。ぜひ、prime videoでご覧ください。

スーパー・ファンドレイザーのグロリアさんは公式インスタグラムで会えます。

ファンドレイジング・パーティーの撮影風景。

寄付月間 -Giving December-

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