寄付月間2020公式認定企画 海外ドラマに見るファンドレイジングと寄付 vol.3

1年の終わりに寄付について考えるキャンペーン、寄付月間2020公式認定企画の「海外ドラマに見るファンドレイジングと寄付」の第3回目。今回は、BBC製作の「コール・ザ・ミッドワイフ ロンドン助産婦物語」をご紹介します。

コール・ザ・ミッドワイフ ロンドン助産婦物語(原題:CALL THE MIDWIFE)

1950年代のロンドンの下町イーストエンド地区にある修道院ノンナートゥス・ハウスのシスターと助産師の物語です。若い頃ここで助産師として働いていたジェニファー・ワースの自伝をもとに映像化した作品で、BBCが制作。2012年から続く人気シリーズです。イギリスでは12月25日からシーズン9が始まります。日本では、アマゾンプライムで現在シーズン4まで見ることができます。

助産師(=ミッドワイフ)が主人公のドラマなので、毎回出てくる出産シーンはかなりリアル。出産はいつも正常分娩とは限りません。逆子だったり、臍の緒が首に巻きついていたり、時には死産があったりとさまざまなトラブルがあります。助産師達は常に妊産婦に寄り添い、ベビーが無事にこの世に生まれ出てくるのを助けます。

1950年代は、まだ家庭分娩が主流だった時代です。妊婦の陣痛が始まると近くの公衆電話からノンナートゥス・ハウスに電話をかけ、助産師達は、「Nonnatus house, midwife speaking.」と電話に出ます。早朝でも深夜でも、霧の日でも雪の日でも、自転車で颯爽と飛び出していく彼女達の姿は、専門知識と技術を持つ職業人としての誇りに満ち溢れています。物語が進むにつれて、産院での出産も徐々に増えてきて、イギリスの社会福祉が整う過程も描かれています。

ノンナートゥスハウス

ロンドンの下町イーストエンド地区にあるノンナートゥス・ハウスは、イングランド国教会の修道院。そこに暮らすシスターたちは、信仰を中心とした生活を送りながら、この地域の貧しい人たちに対して医療活動を行なっています。主人公ジェニーも他の助産師とともに、ノンナートゥス・ハウスでシスターたちと暮らしながら、医療活動に打ち込んでいます。

1950年代のイーストエンドは、下町のせいもあってか、まだあちらこちらに瓦礫が積まれ、戦争のあとが色濃く残っています。古くから海運業や造船業が盛んで、移民労働者が多く、貧困地区であったようです。ここでは、毎日たくさんのベビーが生まれます。助産師とシスターたちは、絶え間なくやってくるベビーを迎えるため、毎日、自転車で駆け回っています。

ある年のクリスマスに不発弾が見つかりますが、処理の失敗により、古いレンガづくりのノンナートゥス・ハウスは強度不足で危険とみなされ、取り壊しが決まってしまいます。そのため、シスターとミッドワイフ達は立ち退きを余儀なくされます。(シーズン3 エピソード1,2)しばらくのちに新たな施設が見つかり、再び活動を始めますが、この施設も古いため、屋根に穴が空いていて、雨漏りする始末。

遺贈寄付

そんなところに、シスター・ジュリエンヌに1本の電話がかかってきます。それは、シスター・ジュリエンヌのかつての恋人チャールズ・ニューガーデン氏から自分の遺産の一部をノンナートゥス・ハウスに寄付したいという申し出があったという知らせでした。(シーズン4エピソード3)

チャールズは、もともと眼鏡製造者でしたが、政策で眼鏡の普及が進んだことにより会社が大成功して、財を成したようです。立派な庭付きの邸宅の玄関前には、ロールスロイスが停まっているくらいですから、相当な資産家のようです。

シスター・ジュリエンヌは、30年ぶりにチャールズに会いにいきます。そこで、チャールズは、こんなことを言います。

今こそ 私の幸運を分かち合う時だ

コール・ザ・ミッドワイフ ロンドン助産婦物語 4−3

英語では、「It’s time to share my good fortune.」と言っているようです。このfortuneという単語は、幸運という意味ですが、財産や富という意味も持ち合わせています。自分とは違う旅路を選び信仰の道に入ったシスター・ジュリエンヌに、幸運と財産の両方を分け与えたいという気持ちから出た言葉なのではないかと思います。

小切手を書けば済む ヴィレッジ・ホール寄金や孤児院へ送ったようにね

コール・ザ・ミッドワイフ ロンドン助産婦物語 4−3

このセリフからは、富裕層にとって寄付は特別なことではないようすがうかがえます。それでもあえて、チャールズがシスター・ジュリエンヌに遺贈寄付の連絡を取るのは、信仰の道に入ってしまった人に会うための、死期を悟ったが故の口実なのでしょう。その後、シスター・ジュリエンヌはチャールズが亡くなったという報せを受けます。

死産のベビーの追悼について、亡き者の記憶を何らかの形で残すべきと語る副牧師の言葉に頷きながら、シスター・ジュリエンヌはチャールズの死に想いをめぐらせます。

彼が遺したお金で建物を直せるし 臨床認可も問題なく更新される 人々への奉仕を続けられる

コール・ザ・ミッドワイフ ロンドン助産婦物語 4−3

でも、活動の資金を得て喜ぶことはできません。寄付者が近しい人であればあるほど、遺贈寄付の受け入れは難しいのかもしれません。

ベビーの誕生がメインテーマのドラマで、遺贈寄付とはちょっと唐突な気がするかもしれませんが、一本の線で繋がっている生と死。日本でも認知が進みつつある遺贈寄付について、生きた証を残す手段として考えてみる機会となればと思います。

コール・ザ・ミッドワイフ ロンドン助産婦物語(字幕版)はPrime Videoで見ることができます。

シスター・ジュリエンヌを演じるジェニー・アガターの凛とした佇まいに憧れます。公式インスタグラムでご覧ください。

遺贈寄付について興味のある方はこちらをご覧ください→https://izoukifu.jp/

寄付月間 -Giving December-

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